秋田県南の自然豊かな増田町で三百有余年の歴史と豪華絢爛な「内蔵」
〜造り手から呑み手へ愉しさを届ける酒造り〜

日の丸醸造

増田町は江戸時代から街道の要衝と舟運で繁栄してきました。さらに吉野鉱山があり最盛期には6千人を超える働き手が集まったといわれています。当時は4つの酒蔵があり町には光が消えることがないということから「蛍町(ほたるまち)」と呼ばれ活気にあふれていたそうです。
「日の丸醸造」は元禄2年(1689年)に創業され、330年の歴史ある蔵です。
明治41年(1908年)に建てられた豪華絢爛な「内蔵」文庫蔵は、豪雪地帯独特の建築様式で、黒漆喰がほどこされ、障子と畳、床板以外は当時のまま保存されているそうです。
現在は、唯一の酒蔵として造り手から呑み手へ愉しさを届ける酒造りを続けています。

私たち口上人キャラバン隊に「日の丸醸造」佐藤譲治社長みずから蔵紹介をしていただきました。

代表銘柄「まんさくの花」のお話

昭和56年NHK 連続テレビ小説 通称朝ドラで横手を舞台にした「まんさくの花」が放映されたのを機に「まんさくの花」が誕生しました。
酒ラベルはひらがなの墨文字を使用して、酒質の通り「きれいで優しい」にぴったりな代表銘柄となっています。(なんと浩宮殿下の書道の御進講役を務められた故今関脩竹先生の奥様である枝竹先生による御揮毫なのだそうです。)
まんさくの花は早春を告げる花で、黄色い毛糸のような小さな花を枝いっぱいに咲かせます。先駆けて咲く「まんず咲く」が「まんさくの花」となったと言われています。

また、まんさくの花は4枚の花弁があることからの別名「四恩の花」とも言われています。四恩は、「先生」「友達」「両親」「先祖」なのだそうです。
感謝の想いを込めて四恩の花 まんさくの花を贈るというのも素敵ですね。

蔵内にあふれる酒造りへのやさしさと愛情、
そして徹底した衛生管理

  • お酒のおかあさん つつんであげましょ 優しくね
  • 麹'sゆりかご Berceau de Koji

酒母室や麹室などお部屋の入り口には、造り手のやさしさと愛情が感じられる言葉が書かれています。こちらは、梅酒などのラベルを手掛けた書道家の渡辺真理子先生のイタズラ書き(笑)だそうです。
こんなに愛されて造ったお酒は美味しいこと間違いなしですね。

酒母室は人間で言うと懐妊するお部屋と言われています。酵母を添加してお酒の元になるお部屋です。
麹室はあたたかくゆっくり48時間寝せられて麹ができるので麹のゆりかごというのだそうです。(Berceauはフランス語でゆりかご)

そして、酒造りにおいて杜氏の仕事は半分で、後の半分は神様の領域「熟成」であるということから、手を抜かず丁寧で真摯な仕事をすれば神様はきっと応援してくれるはずと佐藤社長は言います。蔵内にはしめ縄が奉られていて、お酒の神様がいらっしゃるようですね。

朝7時からお米を蒸す作業が始まります。大きな釜から蒸気が上りいい香りが広がっています。今日は1トンのお米を蒸し上げます。佐藤社長が蒸し上がったお米を「ひねりもち」にして見せてくれました。この蒸し上がったお米の状態をみて、次の作業を判断する基準になるそうです。最近は水分量や温度管理、作業効率など機械化され衛生管理やデータ分析が行なわれています。

しかし機械が造ったお酒はどうでしょう?
杜氏さんが見て、さわって、においや音を確かめて、足したり引いたりする経験による一手間が美味しいお酒になる腕の見せどころということになるのでしょうか。

搾りのお話

日の丸醸造には、全国で一台しかない黄色い搾り機があります。
伝統の槽(ふね)しぼりで酒袋にもろみを詰めて一枚一枚丁寧に並べ一日半かけてゆっくりと絞る方法をとっているそうです。

1本のタンクから「荒ばしり」「中ぐみ」「責めどり」と、同じお酒でも搾りの違いでお酒の味が変わってきます。この違いを呑み比べるのも楽しみのひとつですね。全国でも数社しか行なっていない方法だそうです。

瓶詰め室

ほとんどのお酒は絞られてすぐに瓶詰めをして、火入れする瓶燗殺菌をしています。香りが良い状態で瓶に閉じ込めるので美味しさを損ないません。これにより火入れは1回のみ。そして巨大な冷蔵庫で低温貯蔵されます。この冷蔵庫は秋田県の中でもいち早く導入し全国でも大きな規模なのだそうです。

ただこの瓶低温貯蔵は、コストがかかる貯蔵方法ですが少しでもよい状態でお届けしたいという考えから、冷蔵庫内は4℃に保たれゆっくりと低温熟成され出荷を待っているのです。

お米

日の丸醸造がある増田町は良質な酒造好適米の産地でもあります。
地元の農家と契約し自家製米にこだわっています。
そして、精米も外部に出さず、敷地内にある精米部でお米の生産者でもある社員の方が精米も手がけています。

さらに酒造りの基本は清潔第一ということで、洗いと磨きは徹底されています。人を感動させるうまい酒は造り手も磨かなければならないという考えなのだそうです。

「和醸良酒」(わじょうりょうしゅ)
和む(なごむ)、醸す(かもす)、良酒(良いお酒)
和気の仲間で造ったお酒は良いお酒を醸すということなのですね。
さらにこれには、もう一つの解釈があり、良いお酒は人の和みを醸すという呑み手からの見方もあります。

そして地元の方は日の丸さんではなく、親しみをこめて「まんさくさん」と呼びます。
また日本酒漫画「いっぽん!!」で「うまからまんさく」が取り上げられ、佐藤社長も登場したことで話題になりました。

秋田の日本酒会のリチャード・ギアと呼ばれている佐藤社長。いつも穏やかで、笑顔がとても素敵です。蔵人の皆さんもやさしく笑顔で話してくださったのがとても印象的でした。
「まんさくの花」の美味しさに感じる温かみとやさしさは、「和」にあるのですね。

秋田のんめ酒、おへでける!飲んでみてけれな。

いっぽん!!しあわせの日本酒(増田晶文:原作/松本救助:絵)

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(※試し読みができます。ぜひご購入ください。)

相場詩織「まんさくの花」を語る。

蔵元 日の丸醸造株式会社
代表 佐藤 譲治
創業 元禄2年(1689年)
所在地

〒019-0701 秋田県横手市増田町増田字七日町114番地の2
TEL:0182-45-2005
FAX:0182-45-2006

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